一般例会No.211 高野山・女人道めぐりと高野三山(2回シリーズの1回目)例会記録
概要 『高野山は明治の初めまで女性の入山を厳しく禁じ、七つある入山口にはそれぞれ女人結界というべき女人堂を設けていました。それらをつな
ぐ山道を女人道といい、女性たちはここをたどって御廟を遥拝したといわれています。この女人道と高野三山の摩尼山(1004m)、楊柳山
(1008.5m)、転軸山(930m)を2回に分けて歩いてみます。シリーズ1回目は荘厳な雰囲気の太子廟参道から高野三山をめぐり、
黒河口女人堂跡から不動坂口女人堂へ。下山はケーブルを使わず不動坂を極楽橋まで歩きます。』

日時 2010年10月17日(日)小雨決行
天候 曇りのち晴れ
担当 紀伊埜本節雄、西村晶
集合 南海高野線・高野山駅(ケーブル終点駅)9:35
行程 高野山駅⇒(バス)奥の院バス停〜太子廟参道〜摩尼山〜楊柳山〜転軸山〜転軸山公園前〜黒河口女人堂跡〜不動坂口女人堂〜不動坂〜極楽橋
参加者 安本昭久、小椋美佐、安本嘉代、柴田弘子、寄川都美子、寺島直子、青木義雄、辻角ますみ、木恵美子、仙谷経一郎、紀伊埜本博美
 ・・・ 計13名


10:00 奥の院参道からスタート 朝から多勢
何ごと?驚かれて道を空けてくださる ありがたく感謝

10:18 参道をはずれ 鎖のかかった
林道に入る、左脇に小さな洒落た道標がある

10:40 尾根に出たところが摩尼峠
小さな祠のある巡礼の風景 静かな女人道の始り
 
11:06 摩尼山山頂 やはり祠が迎えてくれる
なにかしら薄ら寒い 残念ながら眺望はない

11:35 黒河峠(くろか)に出合う
ここは典型的な峠辻 村人が行きかう姿が目に浮ぶ 
 
11:57 楊柳山の山頂 広葉樹が混ざった明るい山頂
誰にも会わずゴミひとつない ゆっくりお弁当が摂れる
 
12:47 女人道を往く その1

女人道を往く その2 

女人道を往く その3

12:53 子継峠 奥に子安地蔵 手前に洒落た道標 

13:36 三つ目の転軸山に到着 ほっとした気分に
 
出家した父を尋ねて一人旅 石堂丸の悲しい物語を聴く

14:32 町角の細い辻 何にこれ?ここを曲がるの?


路地の奥 人家の裏庭に入り込む?
石垣の前にプラカードのような道標がある

14:38 やっぱり道は女人道へと続いていた

筑後100年か?重要文化財の家 さすが高野山

15:13 不動坂口女人堂に
到着 これより不動坂を下る

15:55 終着点 朱色の極楽橋をわたる御一同

 10月だというのに、近郊の山では先週までまだダラダラと汗をかいていた。それに比べると高野山はさすがに
涼しい。奥の院のバス停からスタートして参道を一歩右に入ると、もう誰にも会わない静かな山道が待っていた。
 高野三山とは、摩尼山(まにさん)(1004m)。揚柳山(ようりゅうさん)(1008.5m)。 転軸山
(てんじくさん)(915m)と呼ばれ、東から北、南と三方から奥の院弘法大師廟を護るようにしてとり囲んで
いる連峰である。三山とも高さも山容もよく似たもので、摩尼山から左回りで辿っていくと、ちょうど我々の足で
ほぼワンピッチの配分になり1つ1つ登って行くのに都合がよい。明治5年まで、この道が高野山への女人結界の
境界とされていた。当時の女人たちはこの道を辿りながら霊地を遥拝したという。正直なところ、私は高野山を山
として眺めたことがなかったのでその霊地をとりまく高野三山の存在も、ましてやその峰を辿る道が女人道とよば
れる経緯も、すべてにわか勉強で知ったばかりである。
 三つの山の山頂には、それぞれ小さな祠がまつられていて、独特の雰囲気が漂よっている。山と山を結ぶ峠の鞍
部にも祠があり、巡礼にいそしむ白衣の女人たちが、今も彷彿として現れるかのような気配である。そのなかで、
北に位置する揚柳山の山頂はとくに素晴らしい。展望こそ望めないが、適度の広さがあり、ここだけ広葉樹の混在
した明るさがある。紅葉にはまだしばしだが、並んで弁当を広げる仲間たちの笑顔が、明るさに染まって美しい。
この山頂のあじわいは、誰もが久しく忘れていたものを思い出すようだ。
 転軸山の山頂にも予定通り到着した。ここまで2、3名の方と行きかうだけで、ここを下れば一時街の中を通る
ことになるので、さぞ賑やかなことだろうと思っていたが、なんと寺社道を外れると一人の観光客もいない。ゆっ
くり鶯谷の住宅街まで来て、民家の裏庭を通り抜けると再度、女人道に入った。ここからP−908mを越えて不
動坂口の女人堂に至るまで、またほどよい山道が続き心地よい気分が味わえた。締め括りは、女人堂から不動坂を
下って、朱色の極楽橋を渡ると終了である。不動坂は半ば舗装されているが、それでもまあ誰ひとり出合うわけで
はなし、女人道を巡る最終路は混雑したケーブルで終わるより好としよう。次の機会は、ぜひ雪の高野三山を巡り
たいものである。
                             記:紀伊埜本節雄 写真:西村晶、紀伊埜本博美

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