この度、岩手県の焼石岳（１，５４８ｍ）登頂で、日本三百名山を完登することができて、５０年間の山
登り人生に、ひとつのくぎりができたかなと思っております。
　もちろん、山を始めた頃からこの様な目標を持っていた訳ではありませんでした。偶々私の場合主に、縦
走やピ−クハントが好きな二流の山屋なので長年の積み重ねで、５０才を越えた頃に、三百名山をいくつ位
登ったか数えてみると、２００山位登っている事に気付き、頑張れば後１００山位何とかなるのではと思う
様になりました。しかし、残っている山となると、北海道や、東北、九州などの遠方の山や、積雪期でない
と登れない様な、かなりハ−ドな山がいくつかありました。
　最近では、百名山ブームで中高年から山を始めた人でも、百名山を完登されたと時々聞きますが、長年休
むことなく山を登っていたおかげで、三百名山まで届いたかなと思っております。

　日本は山国で、どこへ行っても山は沢山ありますが、三百名山となると、北海道、東北、関東、甲信越等
の東日本圏に３分の２、西日本圏には３分の１ということで、関西人にとっては時間的にも、経済的にも辛
い条件のもとでの登山という事です。

　さて、この三百名山ですが、日本アルプスから里山まで登山の対象となる１８，０００山の中から、日本
山岳会が１９７８年に厳選して選んだ名山という事ですが、中には異論を唱える人もいる様ですが私が登っ
た限りでは當を得た立派な名山と思います。
　三百名山の中には、車で頂上近く迄登れる山（岩木山、八幡平、大台ケ原など）、山中２泊しなければ登
れぬ山（カムイエクウチカウシ山）、登山道が無く残雪期のみにしか登れぬ山（毛勝山、笈ガ岳、男鹿岳な
ど）、又登山禁止中の山（浅間山、焼山、桜島、景鶴山、他）その他、縦走でしか登れぬ山、日帰りで１５
時間以上もかかる様な山もあります。
　私が第１番目に登った山は、高校山岳部の時に、伊吹山を夜間登山で登り、寒さに震えながら見た御来光
は、私を山の虜にしていった事を今でも忘れる事ができません。
　最も、印象に残る山としては、最近登った北海道のカムイエクウチカウシ山です。３回目の挑戦で、今回
は単独で、熊の巣の様なところに、テントで２泊の山行でした。食料や残飯もテントに残す訳にはいかない
ので、担いでの沢登りと雪渓と藪こぎの登山で、アタック１３時間の行程は少々きつい登山でしたが、登頂
の後、満ち足りた気持ちでテン場に帰り着きました。

　私の今後の目標としては、日本全国の自分の未登の名山を出来るだけ多く登りたいと願っております。
いくらいい山でも、初めて頂上に立ったときの感激と、２度、３度、登った時を比較すると、心に響くもの
が全然違うと思うのは、自分だけではないと思います。いつまでも、未知なる物に、挑戦していく冒険心を
忘れずに、次の目標に向って行きたいと願っています。
　この度の、三百名山完登には、長年にわたり一緒に登山してくれた仲間や、精神的な支えになってくれて
いる泉州山岳会、又、心よく山へ行かせてくれた家族に感謝致します。