オプション例会No.141 戸隠山(1904m)例会記録
概要 『バリエーションルートから戸隠山をラウンドします。』 op141-00.jpg
10/10 6:27 鏡池と戸隠連峰の朝 
日時 2010年10月9日(土)午後〜10月11日(月・祝日)
天候 10/9:雨後曇り夜半時々雨
10/10:曇り時々晴れ後時々雨
10/11:曇り後晴れ
担当 板谷佳史、安部泰子
集合 10/9 13:30 伊勢湾岸道・湾岸長島SA
行程 10/9 伊勢湾岸道・東海環状道・中央道・長野自動車道・
上信越自動車道⇒須坂長野東IC⇒戸隠高原鏡池駐車場(泊)
10/10 鏡池駐車場〜西岳P1尾根〜西岳〜本院岳(泊)
10/11 泊地〜八方睨〜戸隠山〜九頭龍山〜一不動避難
小屋〜戸隠牧場⇒帰阪
参加者 保木道代、柴田弘子、黒澤百合子、長瀬茂正、川守田康行、
宮平良雄、小椋美佐 ・・・ 計9名

10月9日 連休の高速道路渋滞を避けようと三台の車の集合場所や経路を工夫した甲斐も全く無く最後尾車が合計
50kmの渋滞を抜けて集合場所に合流できた時にはすでに予定の集合時刻を4時間以上過ぎていた。 三重、愛知、
更に伊那谷を通過中は豪雨と言えるほどの強い雨でどうなる事かと思われたが長野市街に入る頃には、すっかり止む。
なんとか9日中に鏡池駐車場に到着してキャンプ、予定の宴会は中止してビールで明日の健闘を誓い早々に就寝する。

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10/10 6:43 鏡池駐車場を出発する。
午前中は雨を覚悟したが、意外や!良い天気。
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7:18 何度かの徒渉をまじえて、
P1尾根の取り付き点へ向う。
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しばらくは紅葉の中ののんびりした尾根歩き。
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9:18 高原状の緩やかな登りが終わって、
いよいよP1尾根の急登が始まる。
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9:39 最初の岩場が現れる、10mのトラバースの後、
5mほどの直上が今日最初の岩登りでもあり、少々手強い。
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10:09 本格的な岩稜帯が始まる前に休憩、
右手には本院岳ダイレクト尾根が目前に。
主稜線の一部も見えている。
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10:09 尾根の上部には「無念の峰」がそびえる。
これが立ちはだかるため、P1山頂は終始見ることが出来ない。
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10:38 無念の峰下部を登る。
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10:45 無念の峰岩壁帯は左右に巻きながら登って行く。
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10:51 無念の峰の飛び出た岩稜帯を直上、
クサリが有るとはいえ、高度感に緊張する。
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11:38 無念の峰ピークに立つ。標識には「ここは無念
の峰」とある。ルートはこのピークから直ぐに厳しい下降が
ある。この下降が出来なくて引返したから「無念の峰」と名
付けたのだろう。もっともここから引返すのも困難なことだが。
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12:02 「無念の峰」の下降点にはハシゴが設置されて
いるが、そこまでのトラバースが難しいので懸垂下降する。
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12:16 無念の峰を下降すると、すぐに「蟻の塔渡」10m
が待っている。ただし、これは見た目より全然簡単であった。
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「蟻の塔渡」の通過。
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12:19 続いて「不帰の剣」20m
の登攀。この尾根最後の岩場。
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12:26 「不帰の剣」の登攀を見上げる面々。
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13:16 「不帰の剣」を登り終えると、
両側が厳しく切れ落ちた岩稜帯から開放されて
P1ピーク(1989m)への最後の登り。
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13:16 稜線上には無名のピークが多数あり、
「P1の表示」でも無ければ、現在地に自信が持てない。
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13:52 P1ピークで大休止の後、西岳主峰へ向う。まだ先は長い。
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13:54 登ってきたP1尾根を振り返る、上部はガスに隠れている。
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14:01 これから越えねばならない、西岳主峰、
本院岳、更にその向うに今日の泊地予定の八方睨。
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14:02 ガスが晴れて姿を見せた本院岳ダイレクト尾根の威容。
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14:05 西岳主峰(2053m)に到着。ここに立つ
登山者は年間を通じてもまれだろう、まして女性では。
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14:41 西岳から西岳キレットへの下降点、P1尾根〜
西岳〜八方睨間を通じて最も高度感がある岩場であり、その点
で今回の最難関との印象を持った。下降を終えたメンバーが暖か
そうな陽だまりで待っている。その向うには本院岳がそびえる。
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西岳キレットへの下降。この先、そろそろ
今夜のテント場を探しながら進むが・・。
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今日は予定の八方睨まで日没前には届きそうに無い。
本院岳(2030m)の頂上にテントを張ることに決定。
この先のピークまで偵察にも行ったが、結局ここしかなかった。
晴れていれば展望抜群の所らしいが、今は小雨混じりのガスの中。
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16:29 狭く何の表示も無い本院岳頂上にテントを
張り終え、落着いたところでさっそく担ぎ上げた豪華な
夕食とビール、バーボン、焼酎と各種で乾杯。

10月10日 午前中の天候は期待できない予報であったに関わらず、意外や降りそうにもない雲行きだ。思いがけない幸運
にほくそえみながら車一台を戸隠牧場登山口に回送した後、予定通り出発する。時間が経つにつれ日も照る天候となる。P1
尾根の核心部は標高差800m余りの両側が切れ落ちた急峻な岩稜であり、迷う事もなく上へ導かれる。9名がザイルを使用
した登攀ともなると時間はどんどん経っていくが、慎重を期してじわじわ高度を稼いで行く。約6.5時間を費やしてP1(
西岳第一峰)に立つ。ここから先は西岳〜八方睨間の縦走路ということだが、一般の登山道とは桁違いの困難さでまだまだ気
を許すことはできない。今回の山行中、最も高度感があって困難かと思える西岳キレットへの下降を終えると、本院岳とその
先に八方睨のピークが望め、ようやく先が見えたという感じ。だがここに来て雨混じりとなり天候は少し悪化してきたことだ
し、予定の泊地である八方睨までは今日は届きそうに無い。かといってまともなテント場は全く見つからず、やむを得ず本院
岳の狭い頂上で半分ブッシュの上に強引に二張りのテントを張る。テントさえ張ってしまえば、住めばなんとか・・で快適な
空間だ。いつものように豪華な食事とビールで乾杯、皆の健闘で無事P1尾根を完登でき、心地良く酔う。八方睨まではまだ
数箇所重要な通過を残すもののほぼ安全圏内にテントを張ることができた。
夜半は下界の灯りが見え星まで出るかと思えば時々雨が降る天候。予報では明日は朝から好天が期待できるのだが?

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10/11 6:20頃本院岳を出発する、小雨が吹き付ける程
度で濃いガスの中を八方睨を目指す。7:11本院岳直下のクサ
リ場を通過。これで八方睨までの悪場は全て通過したことになる。
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クサリがあるとは言え、昨夜来の雨に濡れた岩は
よく滑る、泥道と化した斜面はなおさら滑る。
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8:00 本院岳〜八方睨間の最低鞍部を越え、
尾根はだいぶ広くなり緊張感から開放される。
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8:36 待望の八方睨(1900m)頂上に
立つ。天候も日がさすようになる。奥社からの
一般登路登山者も数パーティ登ってきて賑やかな頂上。
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9:11 戸隠山頂上(1904m)は縦走路の
通過点に過ぎないような特長の無い場所。
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八方睨から戸隠山を経て、予定通り
戸隠牧場登山口へ向け下山を開始する。
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10:14 九頭龍山(1882m)を過ぎる頃
には晴れ上がり、遠く北アルプスまで見通せる。
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これから向う一不動のコルを挟んで高妻山が大きくそびえる。
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11:10 一不動のコルに到着、一不動避難小屋がある。
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11:30 一不動からの下降途中、
高妻山の斜面を見上げると一面の紅葉。
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11:45 戸隠牧場登山口への下降、ここ
にも2箇所ほどクサリ場があり、油断は禁物。
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12:48 戸隠牧場に下山する。

10月11日 山頂からの朝の写真撮影を期待した人には、残念ながらガスに埋もれて視界皆無の朝を迎える。早々に朝食を
済ませ出発、時々弱い雨が降る程度だが足元は濡れているので慎重に辿る。本院岳の下降でクサリ場の通過に緊張した他はた
いした悪場はないのだが、終始右側がスッパリと切れ落ちた縁を辿るので転倒は許されない。待望の八方睨に立つ頃には晴れ
間が出だして感激もひとしおだ。 ここからは一般登山者の世界で、流行の山ガールもウロウロしている。すっかり晴れ上が
った縦走路を展望を楽しみながら、戸隠牧場へと下った。帰りの渋滞を考えるとあまりゆっくりはできず、鏡池の車を回収後
早々に牧場の登山口を出発、帰路につく。だが結局各地で長い渋滞につかまり、全員翌日の帰宅となってしまった。特に女性
方は予定外のタクシー代出費の上、翌日の2時帰宅などとなってしまった。山より交通渋滞が恐ろしい例会でもありました。

今回登攀した戸隠山・西岳P1尾根はその名のとおり西岳の第一峰に直登するもので、しかもこれを登ってしまうとそのまま
下降しない限り、なにしおう西岳〜八方睨までの縦走路を完登しなければ下山することができない。槍・穂高の縦走路などと
は比べ物にならない困難さ、との評価をされるむきもある。今回辿ってみて、総合的に見て決して過大な評価ではないと思っ
た。女性が5名ものパーティであり、時間がかかっても安全優先で取り組んだ。男性も含め、このルートを完登できたことで
まだまだやれると自信を持って頂ければ、担当者冥利に尽きるというものです。
                                 記:板谷 写真:板谷、長瀬、川守田、黒澤、安部

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