オプション例会No.175  広島・比婆山(1264m)と大山三鈷峰(1516m)と皆生温泉
10周年記念山行・悠々ツアー登山シリーズ・その4
ハイキング+歴史探訪 No.21共催      例会記録
概要 『バスツアーならではの広島比婆山と伯耆大山を結ぶ山旅です。周辺は頃もよし紅葉の真っ盛りでしょう。「広島県民の森」と指定されて
いる比婆山は純ブナ林の存在が有名ですが、ほかにも躑躅の葉が山肌を真っ赤に染める風景に出会うことが出来ます。また昭和の未確認生物
ヒバゴンも面白い話題です。
翌日は移動日となります。バスは正に安芸と伯耆の国境地帯を走ります。かつて西日本最強と謳われた武将、尼子経久の居城月山富田城跡を
訪ねます。安芸の毛利元就との宿命の対決、これはハイキング+歴史探訪ならではのテーマです。
三鈷峰は大山頂稜に至る一角です。以前は本峰、弥山から縦走ができたそうですが、今は崩壊が激しく縦走は禁止されています。したがって
独立峰の観ありで、楽しみは大山北壁を正面に眺めての登山となります。登山は早朝から始めますが、往復ルートですので荒天対策や体調の
変化にも安全に対応できます。これを機会に多くの皆様と共に感動の日々を味わいたいと思います。』

 
日時 2012年10月27日(土)〜29日(月) 2泊3日
天候 10/27:曇りのち雨、/28:曇り一時雨、/29:曇りのち晴れ
担当 紀伊埜本節雄、西村晶、野原勇、大石隆生
集合 10月27日(土) 午前7:00 なんば大阪府立体育館前
行程 10/27(土) なんば大阪府立体育館⇒中国自動車道⇒安芸吉田郡山城跡〜県民の森公園センター(泊)
10/28(日) ⇒広島県民の森〜比婆山登山⇒広瀬〜月山富田城跡⇒皆生温泉(泊)
10/29(月) ⇒大山登山口〜三鈷峰往復登山⇒中国自動車道⇒なんば大阪府立体育館
参加者 欅田克彦、畑山正司、和田良次、安本昭久、畑山禮子、紀伊埜本博美、和田敬子、安本嘉代、杉本栄子、川崎喜美子、山下登志子、
寄川都美子、寺島直子、近藤さとみ ・・・計18名
10月28日 曇りのち雨 烏帽子山〜比婆山登山

紅葉色に染め上げた絨毯の道を歩む心地です。上も下も、前後左右も、ただ紅葉の世界です。

7:30 昨夜の宿舎、広島県民の森センター前で
出発の準備中。朝靄か、霧か、まだ薄明かりのなかで。

前方の山肌に県民の森スキー場のゲレンデが見える。
広島県内には意外にスキー場は多いそうだ。

8:20 出雲峠に近づく、ここは森そのものの風景

霧の中に一瞬、薄日が潜る

条溝石、烏帽子山(1,225m)の山頂横にある謎の巨石、この石には人工的に
刻まれた思われる条溝がある。上部の深い溝は比婆山御陵の方向を示すという。

比婆山(1264m)山頂付近、この祠の奥は伊邪那美命(イザナミのミコト)
の御陵と伝えられる。日本の母なる神という神話の世界です。10:05

濃霧の森 柔肌に天然のミストシャワーを浴びる。

巨石を抱いた一対の門栂は、御陵神域の入口を示す門だというそうだ。
栂とは木の母と読むことからの謂れとか、実際は2本のイチイの木だ
そうだ。幽玄の趣です。

スキー場の上部まで下って来た。対岸の山腹から霧が薄らぎ、紅葉が浮かぶ。

11:15 県民の森広場まで戻ってきました。

 比婆山連山は紅葉の名所であり、神話伝説の山です。北に下れば島根の奥出雲、南は広島の庄原で中国地方の分水嶺です。
天気予報からして今日の雨は100%覚悟していましたが、幸いにも雨は降らず濃霧のなかで幻想的な紅葉を堪能しました。
晴れていればまた違った印象をもったでしょうが、今日は今日で、味わいのある山行に満足ができました。
 伊邪那美と伊邪那岐夫婦の神話は、もはや世代の異なる今、県民の森の宿舎のパンフレットにもありません。亡くなった妻
伊邪那美が恋いしく、黄泉(死後)の国までやって来た夫、伊邪那岐に、自分の腐敗した醜い姿を見られたと怒り、邪鬼とな
って迫る伊邪那美の神話は、なにかこの風景と重なるようで、濃霧の森の物語にふさわしい印象が残りました。
          

歴史探訪シリーズNo.21 安芸、吉田郡山城 と 出雲、月山富田城を結ぶ
10/27日 12:30〜15:00 と 10/28日 13:30〜15:30

毛利元就の居城、郡山城跡です。戦国の覇者として西日本10カ国を治めた
この山城は山頂402m、高差約190mの郡山全域を城郭化しています。

城郭からみて、ここは搦手筋と思われるが、とくにそのような表示はない。
山城を西から迂回するルートです。

毛利元就の墓所 門扉の正面に見える白い木は、75歳で亡くなった元就の
墓標とされたハリイブキの木、枯れてはいるが現存している。

三の丸に至る道、三の丸は山城最大の曲輪(クルワ)で約400坪の広さ
二の丸、本丸と合わせて、実際に元就を含む家族の住居と執務場であった。

本丸とその北側にある櫓台(最高地)に向かう。元就の時代には天守閣は
無かった言われる。物見櫓台があったのだろう。山城は周囲を江の川とそ
の支流に取囲まれ、不足するところは外堀が補っている。

下山は南に向かって大手筋と思われる道を下る。急斜面を巧みに道が切っ
てある。ここは標高250m位の曲輪の一角、真下に吉田の町が見渡せる。
この平地に、尼子3万の軍勢が、旗指物をひるがせて迫って来たのです。

10/27 広島県民の森センターの夕食、これよりビールも飲まない
西村リーダーの乾杯の音頭が始まる。会席料理

10/28 皆生温泉ホテル天水の夕食風景、これよりビールが美味い
野原リーダーの乾杯の音頭が始まる。バイキング

尼子経久の居城 月山富田城跡です。写真は資料館横にある山城の立体
模型図を見ています。山城は大きく二段に分かれていて、下の台地を
迂回する3本の進入路が集結した位置に、改めて大手門跡があります。
下の台地は大小五段構えで、多数の軍勢が居留できそうだ。

太鼓壇の台地にある山中鹿介の銅像、尼子一族がこの城と共に壊滅
した後、忽然と主君の遺児尼子勝久を擁し、尼子家再興を期して
獅子奮闘の活躍をみせた武将、尼子勝久は播磨の上月城で自刃した。
上月城は歴史探訪No.16で訪問しました。

登城のルートは御子守口から千畳平への道でした。帰宅後に解明する。

下の台地の最奥に位置する御殿平です。約千坪はありそうですが、前方に
見える山こそ月山富田城の本城です。正面の石垣がその入口、広場の右側
下に大手門があります。
恐ろしいほど巧みな城郭は、さすが尼子の本拠城です。2度目の来訪でまだ
掴み切れないほど壮大で美しく、且つ複雑です。

御殿平から上で、ようやく三の丸、二の丸、本丸と続く山城形状となる。
本丸の奥には再建された神社が残されている。尼子経久、晴久、義久、
の栄枯盛衰を、ただ黙って眺めていたのだろうか。

上の写真の御殿平を逆方向から見た画面です。左前方の石垣は大手門の
一角です。この御殿平は月山富田城防衛の核心部だったのしょう。毛利
軍の丸3年にわたる包囲攻撃を受け止めたことも、充分頷けます。

 戦国時代の西日本をめぐる覇者の戦いは、壮絶を極めました。出雲、伯耆を中心に現在の山陰地方を制した尼子一族と
、安芸、現在の広島北部の一豪族から、やがて西日本最大、最強の戦国大名にいたる毛利一族の戦いは、かの東国の上杉、
武田両軍の攻防を凌ぐ壮大なものでした。
 今回、私達の訪れた吉田郡山城と月山富田城は、この両軍の本拠地にあります。両軍の攻防は親子3代数十年にわたり、
互いに相手の本拠地まで攻め込み籠城にまで迫りながら、逆にはばまれ敗走するなど勝敗は真剣かつ互角の戦いでした。
 ハイキング+歴史探訪の数々の中でも、これら両山城を一機に訪ねるようなことは、前回の熊本城、田原坂に続くまた
とない機会です。果たして皆さんの満足度は如何でしょうか、むしろ、興味は帰宅後にふつふつと沸きあがれば幸いです。

  
10/29日 曇りのち晴れ  大山三鈷峰登山
             8:20〜15:00

8:20 今日が悠々登山最後のイベントになる。考えれば10周年
記念山行の最終回であり、今期(10月末)の最終番でもある。
ホテルの朝食時間の手違いから、出発時間が50分程遅れた。本日の
チーフリーダー西村さんが、腕時計を示しながら行動予定の説明をする。

最初のアプローチ、大山神社への階段は結構きつい。お天気は
昨晩の内に寒冷前線が通過したようで、傘と雨具は出しただけ
で、天気運は最高、少し肌寒い気温も最高だ。

元谷の下部を体調を整えながら行く、ぶなの木もその下草も
豪華な色合いで、いっときこの先の登山の厳しさも忘れる。

9:20 下宝珠越に近づく、樹木たちの柔らかな表情に比べ
足元は急峻、息切れはする、下山後になればこれが登山の面白
さと云えるのだから、やっぱり登山は楽しい。

上宝珠越から三鈷峰へ、振り返ると剣が峰に続く大山主稜が
ガスの中に初めて浮かぶ、崩壊が激しく今では通過禁止の処置
がとられているが、見れば見たで、登高欲が沸かされる。

眺望を楽しみにしていた大山北壁は、一瞬を除いてほとんどガス
に覆われていた。その下部だけはシャッターチャンスに恵まれて
いたが、一瞬、北壁の全貌が現れるとはっとするほど息を呑む。

三鈷峰山頂直下の悪場、足下のがれ場の先に、怖い程の垂壁が
望まれる。見れば目眩がするという人には、見るなと云うが、
背筋が伸びて生き生きする人も何人かはいる。

11:50 恒例の山頂記念写真 表情には充実感がみられる。

山頂下降時もまだガスの中、快晴も良いが、この情景、雰囲気も
嫌いではない。


およそ山を登る人は、何につけ感動する。「おお、すごいガスだ!」


下山するほどに晴れてきた。スケジュールどおりの時間を
確認しながら、気持ちも軽やかになるのか皆さんの表情は
豊かだ。


13:25 中宝珠越から見た三鈷峰西面、山頂はガスの中。
山頂直下の足下はずばりこの壁だ。

元谷の橋まで下山して、はじめて見えた三鈷峰の全貌。

15:00 専用バスの待つ大山寺駐車場に到着、空はすっかり
晴れていた。悠々登山に相応しいメーンエベントの締めくくりを
迎える。

 我々の日程に合わせてくれたような、天気に恵まれました。三鈷峰登山は予想通りの楽しい山でした。
宝珠山尾根の溢れんばかりの紅葉の渦から、大山北壁の圧倒的な全貌を、たとえガスの隙間の一瞬でも
目にしたときは、その迫力に泣きました。
 人は幾つ何拾歳になっても、感動を求めてさ迷う様を、忘れてはなるまいと今日も強く思いました。
お陰様で、悠々登山も創立10周年記念登山も、皆さんのご協力を得て無事終了することが出来ました。
終わり良ければ全て良し、皆さんの心意気がいつも以上にビシビシと感じられたのは、うれしい事です。
 明年度もさらなる充実を目指して、全ての会員の皆様とともに頑張りたいと思います。
   


宝珠山尾根の溢れんばかりの紅葉の渦

 記:紀伊埜本節雄 写真:西村晶、野原勇、大石隆生

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