一般例会No.306

比叡山・志賀越え壺笠山(421m)例会記録

概要

『旧志賀越えの間道です。京都北白川から比叡アルプスと呼ばれる尾根筋を辿ります。芽生える新緑が見事でしょう。壺笠山はかつて信長包囲網を敷いた浅井、朝倉連合軍の城跡です。その南に対峙する信長軍は猛将・森可成(森蘭丸の実父)の陣取る宇佐山城(336m)です。下山路はその両城の狭間を志賀に下ります。志賀の大仏(おおぼとけ)百穴古墳など歴史遺産が見られます。』

日時

2013年4月14日(日)

天候

晴れのち曇り

担当

紀伊埜本節雄、西村晶

集合

京阪淀屋橋改札口 7:50集合(8:00発 出町柳行き特急乗車)

行程

出町柳駅⇒(タクシー)山中不動温泉~比叡アルプス~一本杉~壺笠山~志賀の大仏~百穴古墳~JR神宮前駅

参加者

福田直也、渡邊恵美子、櫻井宏子、小杉美代子、杉本栄子、松田芳治、保木道代、安本嘉代、岸田暎子、黒澤百合子、谷村洋子、安本昭久、近藤さとみ ・・・ 計15名

9:20 京阪出町柳駅よりタクシーで白川沿いの県道30号線をラジウム温泉まで乗る1200円、県道はこの先2キロばかりで旧志賀越えの起点山中町に至る。昔の飛脚は京、志賀を日帰りで往復したという。

温泉前から北に分岐する小さな谷を行く、位置的に言えば瓜生山(将軍山)の東側の谷筋、EPEでもお馴染みの地域、数々の歴史を秘める場所です。

今日のルートはその谷の左岸から尾根にでる。尾根はすぐに県境となり、北東に辿ると一本杉に至る、これが通称比叡アルプスと呼ばれている尾根筋です。

うれしいことに三ツ葉躑躅の満開に出会う。その数も、大きさも、新鮮な色合いも見事なもので、合間には山桜、あしび、椿の花が咲きみだれ全く予期せぬ出会いである、感激する。

11:25  琵琶湖の見える主稜線に出て、文字通り一本杉に出会う。見事なもので樹齢6百年ぐらいか、とすればあの戦国乱世の名立たる武将達もこの樹の下で腰掛けたこともあろう。

もみじの芽生えが美しい。比叡ドライブウエイを横切って東海自然歩道に入る。ここから次の夢見台跡まで少し、いや相当しんどい下りと登りが待ち構えていた。

12:43 夢見台跡で初めて先客に出会う。ここは一本杉からドライブウエイを1キロばかり東に来たところで車ならば1分ばかり、歩道は谷底まで高差200mを上下して60分ほど要した。

13:15 例会予告の表題となった壺笠山山頂の山城跡、すっかり樹木に覆われて眺望はない。国土地理院の地図にしっかり山名と城跡マークがある。しかし訪れる人はまれ、静かで物悲しさが漂う。

崇福(すうふく)寺跡に立ち寄る。山中にいきなり広場が現れ、礎石が整然とならんでいる。7世紀、大津京の鎮護のため創建とある。かの天智天皇(中大兄皇子)の贖罪の一つ?かな?

14:44 志賀の大仏(おおぼとけ)志賀越えの起点にあり、旅人の無事を祈って鎮座されている。背後の衝立石が後光を巧みに果たしている。13世紀頃の作品、京側の中山町にも鎮座されている。

百穴古墳群はこの竹藪の中にある。巨石をドーム型に築き横穴式の石室からなる古墳がゴロゴロ点在する。6世紀頃の渡来人が琵琶湖の南東部に石文化をもたらせた遺跡。

穴の中には半ば土に埋まった石棺も見える。奈良の明日香にでもあれば、1級の遺跡群になるだろう。薄暗い藪の中で気が付けばカメラマンの手が止まって写真は無し残念でした。

 暖かい快晴の朝、京都白川から旧志賀越えを行く、正しくはどこをどう通るかは別として、私達は気ままに好きなルートを選べば良い。近江から京に至る峠道は4、5本あるが、ここは一番高所を越すことになる。鈴鹿越えの杉峠、飛騨越えの野麦峠などEPEでもけっこう峠越えは好まれる。往時の旅人を想う心が、今頃の自分に通じるのだろう。旅はさすらいである、山(登山)もさすらいになってしまった。でも、今日のルートは絶好のハイキングコースである。前半の比叡アルプスはとくに心地よい、行き交う人も無く花盛りの尾根道をしずかに辿るのは最高である。そして後半はさながら歴史探訪、一本杉に向かP543付近から尾根上に城跡痕らしき切開が多い。よく地図を読むと、この付近から東に3キロほどの位置に壺笠山城があり、この間に大きな起伏はない。織田信長包囲網をひいた浅井、朝倉連合軍は北の背後に叡山を控え、一段下がったこの位置に京、近江を見下ろせる「鶴翼の陣」を敷いたのか、すると壺笠山城の存在も見えてくる。

 ハイキングに講釈は無用と思いながら、こうなると私の足腰に疲れはない。15時過ぎに南志賀町に下山。そこからさらに街の舗道をテクテクと歩く、「あれが織田軍きっての猛将森可成の死守した宇佐山城です」と指しても、周りの皆さんはすでに食傷気味、歩数計は29000ほど示していたそうで、さて今日はハードなハイキングでしたかな?と思う。15:50、JR湖西線神宮前駅に到着した。

記:紀伊埜本(節) 写真:西村(晶)