一般例会No.427

六甲・鍋蓋山(486.2m)例会記録

概要

『鍋蓋山は六甲縦走路にあるため西から東への通過点としてよく知られています。今回は北から南へと横断します。西表六甲に設けられた防火道とはどのような道か、紅葉と未体験ゾーンが楽しみです。』

日時

2015年11月15日(日)

天候

曇り時々晴れ

担当

紀伊埜本節雄、西村晶

集合

8:30 阪急梅田3F改札口前 (8:40発 特急・新開地行き乗車)

行程

新開地⇒鈴蘭台⇒(バス)二軒茶屋~鍋蓋山~七三峠~平野谷西尾根(防火道)~平野谷東尾根(防火道)~JR元町

参加者

飯尾廣子、寺島直子、保木道代、安本昭久、岩本和行、三原秀元 ・・・ 計8名

10:00 鈴蘭台からバスで有馬街道、二軒茶屋で下車。街道から少し奥まった処に登山口(標識)を見つけ出した。

本日のルートを地図合わせする。幸いにも参加者の皆さんは読図の好きな方、堪能な方ばかりです。

地理院地図にも「牛の背」と記入されているなだらかな尾根道を行く、紅葉の兆しは僅かに観られる。

森の向こうに明るい日差しが見えてきた。青空も垣間見る、どうやら天気は好い方向に向かうようだ。

10:45 再度山と鍋蓋山の分岐点。

道標に鍋蓋山北尾根と示された道を行く。快適なハイキング道ですが、良い気分も束の間、直ぐ六甲山縦走路に出た。

これが六甲山縦走路です。東から西に向かうのですが、逆から見れば何と殺伐とした登山道でしょう、誰がこんな風情に加担したのか?身勝手な反省と云われましょうが少し考えませんか。

11:07 鍋蓋山の山頂下(東側)です。縦走路として西から東に通過することがあっても、この山頂を愛でる余裕の無かった山頂です。

さて鍋蓋山の南側に位置する本日お目当ての七三峠です。だが予定のルート(防火道)平野谷西尾根は工事中となっています。示された回り道は二本松林道まで直ぐに交わり、その先は今日2本目に予定していた(防火道)平野谷東尾根に続いているようです。

 七三峠を取り巻く位置は少々複雑です。以下はお気に召せばお読みください。

 鍋蓋山を地形的概念に捉えれば、西側は天王谷、東側は再度谷です。その鍋蓋山から南に伸びた尾根はほんのわずかな先で、平野谷西尾根と平野谷東尾根に分れています。七三峠はその手前の窪み程度のコルです。しかしこのコルから見れば天王谷と再度谷を東西に振り分けている峠であることは確かです。それにしても七三峠の謂われ何だろうかと思います。妙にその名に哀愁があります。

 さらに、七三峠の真下にはトンネルがあってそれが閉鎖されているとエリヤマップには記入されています。二本松林道ではないもう1本上に敷かれた極楽谷林道というもので、これもまた奇妙な雰囲気を感じます。ついでながら、帰宅後、古いエリヤマップ(1974版)を読むと、何と七三峠の東に学校のマークがあります。此の山中にこれはまた如何なるものか、解明してみたい気がふつふつ湧いてきました。 およそ下界に近い山の地図ほど読みにくいものはありません。道路や地名その他の挿入物が多すぎて大きく概念が掴みにくいものです。仮に七三峠を境に東西の流域(谷)の大きさを七三と表現したものとすれば、さて何れが七で何れが三か? あるいは林道の距離から割り出したものか? あるいは山中に設置された学校?に纏わる謂われなのか、これはもう2~3回、この周辺を徘徊する楽しみに残しておきましょう。

工事のお邪魔になるならすぐに引き返しましょうと決めて、予定の西尾根に入りました。看板をよく読めば自己責任でとありました。

一つのピークを越えた処に工事中の道路が尾根を横切っていました。小さな飯場にショベルカーが一台、本日は休みのようでそのまま通過させてもらいました。

(防火道)平野谷西尾根は健在でした。ただ手入れは大分省かれているようで、これで防火機能が果たされるのかどうかは不明です。登山道としては直線的で大小のコブも忠実に上下するのでハードです。でもそれが意外に爽快で快適です。ボウカ道ならぬボッカ道に最適です。

12:43 二本松林道に出会いました。ここまで下り一方かと思いきや結構登りもあり楽しい尾根道です。協議の結果、最新エリヤマップ(2014版)には(防火道)平野谷東尾根は廃道となっていることから、このまま真直ぐ西尾根を下ることにしました。

ただし、最新エリヤマップにはこの先は天王谷東尾根と記入されています。天王谷が右手に沿ってくるのでなるほどと思いますが、名称がややマニアックで普通に歩く範囲では混乱しそうです。

名称は変わりましたが、地形的には(防火道)平野谷西尾根の役割はそのまま続きます。しかし、終盤は手入れが極端に省略され、笹藪と女郎蜘蛛の巣払いに苦労しました。

最終はこの駐車場の奥にある廃家とゴミ捨て場を突き当たり金網に遮られます。何んとそこに登山口を示す道標が立っていました。即ち、防火道は上下出入口を閉められたほぼ廃道が現状ということです。

14:00 祇園神社に到着しました。これから先は例会予定にないおまけです。この神社は平清盛が雪御所に遷都を夢見て京の都を模して建てたものです。

天王谷に沿った湊山温泉です。同じく雪御所の平清盛が日毎の癒しとした温泉です。皆さんは信じられない表情ですが、次の機会にぜひ入ってみましょう。正面玄関の暖簾には源泉100%と染め抜かれていました。

ここが雪御所跡の先端地です。残りの大部分は住宅や小学校と化しています。天王谷川と石井川(烏原川)とが合流する三角州に囲われた天然の要害地です。約800年前の平清盛が夢の跡です。

 ハイキングの愉しさの一つに、地図を片手に知らない地域、知らない領域を探っていく面白さがあります。これはハイキングのみではなく全てのスポーツ、文化、芸能に共通した面白さ喜びだと思います。新しいページを開く読書の喜びも未知なる世界への誘いがあるからでしょう。話しが大きくなりましたが、そこに私どもの背丈にあったキーワードを探せば、それは何事にも「遊び心」を忘れぬことでしょう。「遊び心」とは余裕、怠慢の意味ではなく、一所懸命に取り組む「動機」「題材」みたいなもの、と私は思います。

 「防火道を探る」愉しみを皆さんと一緒にワイワイ、ガヤガヤ大変楽しいハイキングを味わいました。近頃は「歩くこと」への効用がしきりに宣言されていますが、そこに「遊び心」が加わればさらに楽しく面白く実践できるでしょう。それを証明できるのは正に(安倍首相の口癖)EPEの皆さんの活動です。今日も存分に歩き楽しみました。

記:紀伊埜本(節) 写真:西村(晶)