一般例会No.479

大和葛城山(959m)例会記録

概要

『葛城山で紅葉のブナ林を鑑賞しましょう。低木(もみじ等)と少し紅葉時がズレると思いますので、その両方を見るのは難しいところです。山頂北側のブナ林自然研究路を巡ります。下山は河内の名刹・弘川寺(西行法師の没地)に下ります。』

日時

2016年11月13日(日)

天候

晴れ

担当

紀伊埜本節雄、西村晶

集合

8:10 近鉄富田林駅・金剛バス水越峠行きバス停前(8:20発 水越峠行きに乗車)

行程

水越峠~葛城山頂~自然研究路回週~弘川寺~河内小学校バス停⇒近鉄富田林駅

参加者

安本昭久、安本嘉代、寺島直子 ・・・ 計5名

9:10 水越峠バス停から5分ほど移動した登山口。本日の参加者は5名、久し振りの小パーティだ。お天気は快晴、これもまた楽しい条件の一つ。

葛城山頂までダイヤモンドトレールを行くことになる。だが此の道はおよそ直線的で階段の連続、全く味気ない道だ。ヒルランニング向きに年々変貌してるのだろう?

唯一の救いは、P909m付近で東向きの大展望台に出会えることである。大和三山、とりわけ畝傍山が鮮やかに浮かび上がっている。多武峰と明日香の里も同じ鳥瞰の中にある。めったにお目にかからぬ眺望だ。

まもなく葛城山頂、次は西向きの大展望を期待しながら、すすきの穂がなびく躑躅の丘を頑張って登る。

11:00 大和葛城山(959m)山頂到着。同じ青空の下だが西側の下界は早やもやっていた。PLの塔、あべのハルカスがぼんやり確認できる。パラグライダーが上昇気流に乗って髙く舞い始めた。

11:45 本日のお目当て自然研究路の分岐点に立つ。葛城山頂の北面に区画された、小さな尾根と谷が自然のまま手付かづに残されており、登山者に一周約1時間の観察路が解放されている。

さて、ありがたいことである。入り口から一歩踏み込むと、何んとも柔らかな親しみのある紅葉の世界に包まれた。

奈良県側にあるロープウエイ山頂駅からわずか10分足らずで、人気の無い昔ながらの登山道に癒される。まるでタイムスリップしたようだ。

広葉樹林帯にブナ、ミズナラの高木が点在するといった風景だ。実は樹木の植生など語れる身では無いが、目前の楓、もみじの鮮やかさに目を奪われ、高い梢のゆくえが疎かになっている。

足元はふかふかとした腐葉土、その上の紅い落葉を踏みしめている様から、高い梢は既に紅葉の盛りが過ぎているのだろうか?

つづら折れの登山道からごく自然に撮ったようです。この季節ならではの風景、またこの季節ならではの悦びである。

ときに真っ赤な紅葉が現れる。高い梢の先はたしかに落葉が始まっている。

この坂道の先は一変して植林帯のダイヤモンドトレールが待っている。尾根に直上せず、緩やかな曲線で添うように合流する路造りは、忘れていた昔ながらの山道である。

13:05 ダイヤモンドトレールを15分ほど葛城向きに戻り、弘川寺に下る分岐点に出る。期せずして今日は、今昔二様の登山道を味合うことになった。

15:15 弘川寺に到着。途中、交錯する廃道に惑わされ、本堂裏の尾根上にある西行墳(法師の墓)にお参りすることが出来なかった。西行は晩年この寺で住いし、73歳で没しここに葬られたという。

本坊庫裏の門前。中には西行法師に関する資料文献が展示された西行記念館がある。春季、秋季の期間のみ開館されているようだ。本日は河内バス停4:00発に合わせて見送りすることにした。

本坊庭園の借景であろう、見事な紅葉を裏から拝見する。庭園内には樹齢350年の海棠(天然記念物バラ科の老樹)が毎年4月中旬満開を迎えるそうだ。

 短い秋を求めて手軽にかつ手垢の付かない山があればと、葛城自然研究路を思いつきました。喧騒のすぐ隣と云ってもいい場所です。発想の転換でしょうか、結果は大当たりでした。

帰路、今一つの目論みは弘川寺の西行墳でした。これを見落したことは失敗でした。裏山に縦横に走る廃道に惑わされ(登る場合はまだしも)、結果的にコンクリートを張りつめた管理道に誘導されお寺まで直行してしまいました。残念なことでした。

そこで、此の裏山を存分に巡り、併せてこの地を終焉とした西行の生きざまとは如何ようなものか、しかるべき季節に再度例会を企画したいと思います。ぜひご賛同ください。

『願はくは花の下にて春死なむ そのきさらぎの望月のころ』 西行は自身の願い通り文冶6年(1190年)2月16日(新暦3月)ここに没しました。

記:紀伊埜本(節) 写真:西村(晶)