一般例会No.546

鞍馬・竜王岳(500m)+アルファNo. 22「小町寺(補陀洛寺)」
例会記録

概要

『早春の鞍馬・竜王岳に登ります。鞍馬寺を対岸から眺める景観が楽しみです。二軒茶屋駅に下山後、小町寺(通称)を訪ねます。この寺は平安末期の歌人小野小町の終焉の地といわれています。「吾れ死なば、焼くな埋むな、野に曝せ、痩せたる犬の、腹を肥やせや」かつて絶世の美女と謳われた小野小町が残した歌です。老境に至る小町の心境とは如何に?そこに何か学ぶものがあるでしょうか。』

日時

2018年3月18日(日)

天候

晴れ

担当

紀伊埜本節雄、秋田文雄

集合

8:00 京阪淀屋橋駅改札口前(8:10発 出町柳行き特急乗車)

行程

出町柳駅⇒鞍馬駅~薬王峠~竜王岳~P391~二ノ瀬駅~小町寺~市原駅⇒出町柳駅

参加者

翁長和幸、青木義雄、寄川都美子、大森朋江、寺島直子、西村晶、三原秀元、保木道代、上原進一、板谷佳史、横山寿夫、小川眞裕美、安本嘉代、安本昭久 ・・・ 計16名

9:50 鞍馬駅、桜花にはもう一歩の早春、観光客も疎らです

薬王坂への登山口にて今日のコースや予定を確認

薬王坂です。近頃よく登るようになりました。ここは若者より爺ちゃまが様になるようです。鞍馬から静原~江文峠~大原へと続く古道です

10:30 薬王峠に到着、ここから北に向かえば天ヶ岳、南に向かえば竜王岳の分岐点です

11:00 竜王岳山頂に到着、山頂の碑には元禄十四年とある、確かこの年は忠臣蔵刃傷松の廊下の年?ここで早い昼食とする

山頂から鞍馬街道を挟んで鞍馬寺が見えている。遠くには雲取山だろうか?北山にはよく来ているようだが、まだまだ馴染みが薄い

山頂から西への尾根を辿ると経塚のある分岐点に着いた

経塚のピークから南へ尾根筋を下る。この辺りはまだ明瞭な山道と云える

やがて多数の倒木がそのまま、踏み跡が荒れた箇所も多くなってくる
倒木はくぐるより跨ぐ方が面倒だが、くぐるほどの大木が多い

とはいえ、今日のコースには終始消防団が設置した標識が完備しており、番号順に辿れば迷うことも無さそうだ、この標識については後記する

次の分岐点で地図読みをする。標識22と標識20がこのコースのポイントだが、標識が分岐点の数メーター先に立っているのがミソでしょう

12:50 二ノ瀬の鞍馬街道に出た。一駅先の市原駅までこの街道を歩く、車両專用のバイパスが東側のトンネルを抜けているので車はほとんど通らない

13:40 補陀洛寺(通称小町寺)に到着する。市原から10分ぐらい街道が少しせり上がった峠の東側にある

予想よりややうら寂しい感じ、豪奢な寺院ではない。しかし裏手二段に拡がる墓地は大きく古刹の趣がある。まさに野晒しの感じだが

「姿見の井戸」を覗きこむ。水面に写る吾が姿を眺め老いを悟る絶世の美女小野小町、なぜか?今日はいつもと違い男性の参加者が多い、それも真顔で覗きこむ

「小町穴芽の薄(すすき)」野晒しのまま亡骸となった小町の髑髏、その眼孔を貫くすすきが風に揺れている。鞍馬寺の高僧がこれを哀れみ弔ったという伝説、これは能舞台の戯曲として様々演じられるという

小野小町供養塔(伝室町時代) 他に百夜(ももや)通いで有名な深草少将の供養塔(1745年造立)もある

供養塔に添えられた有名な小町の句「花の色は 移りにけるな いたづらに わが身代にふる ながめせしまに」
歌の解説は参加者の一人横山先生にお願いしました

墓地らしく「シキミ」の花が満開でした。

14:30 叡電・市原駅に出て例会は終了しました

 絶世の美女小野小町の強烈な辞世の句「吾死なば、、」に魅かれて、この日のプラスアルファーが生まれました。小野小町は平安期に六歌仙のひとりと謳われながら、その生没年は不詳とされ、ときには架空の人物との説もあるぐらいです。つまり今昔多くの人々から彼女の才と美は讃えられ、かつ妬まれしながら連綿と今に至ったのでしょう。

 小野寺はその伝承の場所のひとつです。残念ながら楽しみにしていた当の住職の講話は「お葬式が入りましてな、、」と前日に断わりの電話がありました。本堂に閉ざされた小町老衰像(鎌倉期作)は、お留守を頼まれたという妙齢の女性の手で開かれて拝観しました。その他の伝承物は庭先、墓地にいわば野晒ですのでご自由にということでした。今流にいう終活を迎えた小町の心境、如何でしたでしょうか、正直なところなぜか男性軍の方がよりデリカシーに揺さぶられたように思いました。

 追記 画面にある標識の写真は京都下鴨警察署管内にある5ルート19コースに264本の救助標識が設置された1つです。コース上の標識番号とその緯度経度が表示された「左京山岳救助標識マップ」がネット上から入手出来るようになっています。今後活用される方は参考にしてください。

記:紀伊埜本(節) 写真:板谷、西村(晶)