オプション例会No.246

北ア・黒部峡谷(剣沢~池ノ平~仙人池~水平歩道)
例会記録

概要

『剣岳がなぜ「岩と雪の殿堂」と称されるのか、尾根・雪渓・沢・岩場を歩くことを通して実感できるコースです。』

日時

2017年7月26日(水)~31日(月)

天候

7/27:曇り一時雨 7/28:曇り一時雨 7/29:雨のち曇り 7/30:曇り

担当

野原勇、板谷佳史

集合

7/26 21:30 JR大阪駅中央改札口前(西日本JR高速バス 22:20発「富山行き」乗車)

行程

7/27  ⇒電鉄富山駅⇒(富山地鉄・ケーブル・バス)室堂~剣御前小屋~剣沢~真砂沢ロッジ(泊)

7/28 真砂沢ロッジ~剣沢二股~仙人新道~(仙人池立寄り)~池ノ平小屋(泊)

7/29 池ノ平小屋~仙人新道~真砂沢ロッジ~剣沢~剣沢小屋(泊)

7/30 剣沢小屋~剣御前小舎~室堂⇒(バス、ケーブル、富山地鉄)電鉄富山駅⇒21:40発 西日本JR高速バス乗車

7/31 6:14大阪着

参加者

安岡和子、小杉美代子、小椋美佐 ・・・ 計5名

 今回例会最大の目玉とした水平歩道の一部が崩壊して通行できないという情報を1週間余り前に把握、何度も現地の山小屋4軒に連絡を入れ情報を集めた結果、水平歩道の大太鼓付近が10m程度崩落している模様。垂直の岩壁に刻まれた登山道が崩落となっては対処の術がない。まったく夢にも想定しなかった事態だ。ただ最新の情報がどうしても確認できない。関西電力の水平歩道整備に淡い期待を持って大阪を出発した。
 7/26 2年前の劔岳登頂メンバーが再度集結、高速バスで富山を目指す。

7/27 バスが室堂バスターミナルに着いた時は、かなりの雨。
10:20 雨の準備をして外に出ると止んでしまったが、雲は低く垂れ込める。

ガスの中を雷鳥沢へ向かう

雷鳥沢雪渓を登る

振り返るとガスの切れ目から立山の斜面が美しい

別山乗越を越え、お目当ての剣岳の領域へと入っていく

14:30 剣沢小屋前にて、この後、剣沢大雪渓へ向かう。

夏道が露出した部分が終わると、アイゼンを着け剣沢雪渓を下降していく

16:00 平蔵谷の出合いを通過

剣沢雪渓の下降が続く。結果として、山行中、今日この時刻頃が最も晴れ間が出た

16:30 長次郎谷の出合いを通過、奥に八ツ峰のフェース群が見える。真砂沢のベースキャンプから何度もここへかよったのも40年以上前になってしまった

17:20 今夜の宿泊地、真砂沢ロッジに到着

剣沢の夏道にはキヌガサソウが多く咲いていた

 7/27 室堂で登山指導員に登山届の提出を促される。事前に把握していた通り、水平歩道は一部崩落して通行不能が継続しており、復旧の見通しは立っていないとのこと。水平歩道通行日程に大きく「×」印を記入される。今回例会において最大の推奨ポイント、参加メンバーに歩いて欲しかった、感動して欲しかった、楽しんで欲しかった地点を歩けないことが決定。残念の一言に尽きます。小雨の降る室堂を出発。剣御前小舎を通り過ぎ、剣沢小屋を経て剣沢に入る。例年の今頃なら雪渓が続いている箇所が口を開けている。7月中にこんな雪の少ない雪渓は私の経験では初めてだ。地球温暖化の影響だろうか、年々剣沢の残雪が減っているように感じる。長大な剣沢を下り、ほぼ見込んだ時間帯に真砂沢ロッジ到着。一名体調が悪く、夕食を摂ることもできない。

7/28 夜は激しい雨が降り続いたが、真砂沢ロッジを出る頃にはほとんど止んでいた。8:20 雪渓と露出した夏道を探しながらのルートが続く

雪渓の下をくぐりながら、水際をへつる場所もあり

壊れかけた桟道をクサリにすがって通過する

9:30 二股吊り橋(7月中旬から10月中旬まで架橋)を渡る。ここで不安定な雪渓の多い剣沢とも別れるのでホッとする所

二股から見た三ノ窓雪渓

二股から仙人新道を登る(仙人峠も間近、最後の登り)

真砂沢ロッジ付近で見かけたハクサンフウロ

剣沢から仙人峠の足元を彩るアカモノ

仙人新道から三ノ窓雪渓を見下ろす

12:15 立ち寄った仙人池より見た裏剣、相変わらず八ツ峰から上半部はガスに包まれたまま

13:20 今夜の宿泊地池ノ平小屋と池ノ平山(2,555m)が見えてくる

池ノ平の石仏、天気が良ければバックに八ツ峰が聳えているのだが・・・

池ノ平より剣北方稜線を望む

ガス湧く八ツ峰遠望

 7/28 体調悪かった一名も回復。昨夜はこのまま翌朝まで体調が回復しなければこの小屋に残ってもらうことも考えていたがセーフ。池ノ平へは当初予定していた北俣が雪渓の状況が悪く仙人新道経由に変更。この仙人新道は北俣に雪が十分にあれば、個人的には歩きたくない急登が続くコース。今回この計画をこの時期に設定した理由も、北俣に十分な残雪があると読んでのこと。読みが外れてしまった。途中仙人池に立ち寄る。仙人池前のベンチに座っていると仙人池ヒュッテからお茶の接待を受ける。この小屋はいつもこんな感じだ。「仙人池のおばあちゃん」と多くの登山者から慕われた先代の教育だろうか。リピーターが多いのも仙人池に映る裏剣の景色だけでなく、このようなさりげない「おもてなし」があるからだろう。目の前に広がる仙人池と八ツ峰を十分に楽しんだ後、池ノ平小屋に向かう。池ノ平小屋の管理人も代わっていたが、相変わらず気持ちの良い小屋だ。ただ従来は管理人以外に2人、多い時は4人以上のボランティアの応援で維持していた小屋をたった1人で守っているとのこと。夕食後、管理人と山小屋のあり方を話しながら2人で焼酎を酌み交わす。寝ていると強く、弱く雨が屋根を打つ。

7/29 池ノ平小屋の朝を迎える、夜中は時おり強い雨だったが、朝には止んでよかった

6:45 池ノ平小屋出発の朝、記念撮影です

八ツ峰上部側壁に「モンローの唇」と呼ばれる雪渓がガスの切れ間から現れる

9:50 再び剣沢を上へと向かう。激流渦巻く岩壁沿いのトラバース、落ちないよう必死にクサリを掴む。

ガスに包まれた剣沢雪渓を登り返す

15:15 今山行最後の宿泊地、剣沢小屋に到着

 7/29 池ノ平小屋6時45分出発。昨日のコースを逆に辿り真砂沢ロッジを経て、剣沢小屋に向かう。真砂沢ロッジで預けていた荷物を引き取り、アイゼン装着。剣沢小屋まで標高差700m余り、単調ではあるが息の切れる登り一方のきついコースだ。午後3時過ぎ剣沢小屋到着。

7/30 5:45 剣沢小屋の朝。今日も雲は低く剣本峰は見えないが晴れそうだ

別山乗越付近のミネズオウ

10:45 室堂近くまで下山してきた

13:35 富山地鉄・立山駅より乗車した列車(引退した大阪の京阪電車テレビカーの車両が活躍していました!!)

 7/30 今朝はゆっくりと朝食を楽しみ、8時頃に出発するつもりだったが小屋従業員に急かされ6時前に朝食。剣沢小屋6時50分頃に出発となった。劔岳頂上は雲に隠れて見えない。剣御前小舎、雷鳥沢を経て室堂到着。「立山玉殿の湧水」前で今回の例会を解散とした。今回はピークをひとつも踏まない山行、水平歩道崩壊という予期しない事態発生のため当初予定していた池ノ平~雲切新道~阿曽原温泉小屋~水平歩道~欅平をカットせざるを得なかった山行となってしまったが、雪は十分楽しめたのではないか。EPEクラブで今回のように連日長時間雪の上を歩くことはない。参加メンバーから、次はこの山を、このコースを歩きたいという希望がありました。希望に沿う、沿わないは別にしても、私自身「心を熱くする山」をもっと登りたいと感じた山行でした。

記:野原 写真:野原、板谷