一般例会No.627

(ベーシック登山No.54)比良・折立山(819m)ビバーク講習 例会記録

概要

『緊急時のビバーク方法のあれこれを体験します。』

日時

2020年2月2日(日)

天候

曇り時々晴れ

担当

野原勇、板谷佳史

集合

7:30 JR大阪駅中央改札口前集合(7:45発 新快速・敦賀行き乗車⇒8:35 堅田駅下車、8:50発 江若バス・細川行き乗車、平下車)

行程

平~アラキ峠~折立山(ビバーク講習)~アラキ峠~平

参加者

安岡和子、保木道代、大森朋江、上野あさみ、寺島直子 ・・・ 計7名

9:15 平バス停にて出発前にリーダーから今日の予定説明

アラキ峠への道を登り始めると、最近降った積雪が現れ始めようやく冬らしい景色に

10:15 アラキ峠着、積雪が少し増えてきた

10:35 今日の目的地、折立山に到着。メインルートからは外れたピークでトレースも無く、静かな山頂。深いところで10cm位の積雪

さっそくツェルトビバークの講習開始、立ち木を利用したり、ストックを使用したりして如何に安定したツェルトを設営するか。安全・快適に一夜を過ごすため、知恵をしぼること

各自持ち寄ったツェルトで実際に設営してもらう

ツェルトを設営できない地形や状況では、被るだけしかできない場合もあります。2、3人で被れば暖かいです

ツェルトも無く着のみ着のままでのビバークを余儀なくされたら、持っているもの全てを動員する

「低体温症ラッピング」による救助者搬送法を学びました

予定した雪洞でのビバーク講習は不可能なので他のレスキュー講習を実施、心肺蘇生の復習です

14:50 林道の登山口まで下山してきました。この後平バス停に戻る

 例年なら一番積雪があるこの時期の比良山に雪がまったくない。そのためか担当者が一言も言っていないのに中止の噂が独り歩きする始末。参加するかもと見込まれるメンバー10名あまりに急遽声かけをし、結果として5名のメンバーが参加することになりました。声かけしていないメンバーの問合せや参加も期待しましたが一切なし。正直残念でした。

 雪のない新年ハイキング後、1月下旬頃までの大寒波の襲来、積雪を期待しましたが雪がまったく降らない。2年前の1月末にラッセル体験をやった同じ山が、今回は実施3日前午前中の時点で雪の存在がまったく感じられないほど。今回講習の目玉と考えていた雪洞ビバーク体験断念に追い込まれました。雪のまったくない冬山?を覚悟しましたが3日前昼過ぎから小雪が舞い始め翌朝は比良山の上部が白く雪化粧。雪洞は無理でも冬山の雰囲気だけでも感じられるのではないかと淡い期待を持った次第。

 平のバス停から権現山登山口へ。2年前のEPEクラブのHPを見て貰えれば分かりますが、2年前は雪がたっぷりありました。その時の状況とは様変わりです。そのまま雪のない登山道を登っていくとアラキ峠手前からやっと雪道らしくなってきましたが、積雪が深い所でも3cm程度。呆れてしまうほどこの時期としては異常な少なさ。アラキ峠まで登山口から30分。アラキ峠から折立山頂上まで10分あまりで到着。地形図にも山名表記のない盲腸のようなこの山に登ってくるもの好きはおらず我々だけで頂上を独占して講習開始。

 先ずツェルト講習、リーダーのツェルトだけでなくメンバー各自の持ってきたツェルトを含め計4張、自分一人でも張れるよう1時間以上かけて徹底して体験してもらいました。ツェルトに限りませんが持っているだけでは宝の持ち腐れです。その後「着の身着のまま」でのビバーク。心肺蘇生もお互いのミスに大笑いしながらも真剣に時間をかけて体験してもらいました。その他、北海道警察山岳遭難救助隊の取り入れている「低体温症ラッピング」も体験、現場で実施可能な最強の対策と言われています。また山での雷対策、止血方法、ザック搬送等々。最後の方はややバタバタしましたが無事講習を終えることが出来ました。

 私は担当する例会でこのような講習会を年に1回程度実施しています。その理由は「自分は遭難しない」「遭難するような山に登らないから大丈夫」「しっかりしたリーダーが付いているから大丈夫」というのは妄想、幻想、錯覚、寝言、戯言でしかないと泉州山岳会に入会するまでの経験から自覚しているからです。登山は山の大小遠近に関わらず、どんな山でもリスクを背負って登っていることをメンバーと共有したいと思っています。対処する知識も経験もなく突然危機に対面しても手遅れです。甘い考えは危険ですよ。

記:野原 写真:板谷